東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、ジョージア前国防大臣ティナティン・ヒダシェリ氏を迎え、「影響力の最前線:ロシア・中国とジョージアをめぐるハイブリッド競争」と題した公開シンポジウムを開催いたしました(2025/12/1)。

講演では、ティナティン氏より、次の点についてお話を頂きました。
・ジョージアはこれまで真の民主主義国家として発展してきたにもかかわらず、現政権が親欧州路線から親ロシア路線へ転換したことで、民主化の歩みや欧州およびNATOとの連携が損なわれつつあるとの強い懸念がある
・ロシアが現在もジョージア国土の約5分の1を占領しており、依然として深刻な安全保障上の脅威である点が示された
・国内における影響力の構造が変化し、従来強かったロシアの影響力が中国の存在感へと置き換わりつつあるとの懸念がある
・長期的な視点では、ロシア以上に中国がより大きな脅威となり得るとの指摘がある
・これまで中国からの資金提供はロシアの影響力を相殺する要素として受け止められてきたが、現在は状況が大きな転換点にあるとの見方が示された
・ジョージア国内で言論弾圧が強まっている実態についても深刻な懸念がある


ESILからは井形彬特任講師がモデレーターとして登壇し、マヤ・ソブチュク学術専門職員は、ジョージアに対するロシアの影響力工作に関するトピックの議論を展開しました。


ドイツ国際政治安全保障研究所(DGAP)アソシエイト・フェローのAya Adachi博士は、ジョージアにおいて戦略的重要性が高まっているアナクリア港について下記のコメントがありました。
・黒海沿岸に位置するアナクリア港の開発を中国資本が担う場合、中国への依存が深まるリスクがあるとの懸念がある
・同港はロシア国境に近接しており、仮にロシアがジョージアへ侵攻した場合、接収される可能性があるという地政学的な不安定性がある
・地政学的な不安定性が、欧米資本の参入を困難にしている要因であるとの分析が示された


セミナーの最後には、聴衆を交えた質疑応答と活発な議論が行われました。


本シンポジウムの内容は、NHK「国際報道」において、「EU加盟中断、いまジョージアは」と題して放送されました。詳細はこちらのNEWS記事からご覧ください。

