東京大学先端科学技術研究センター(経済安全保障インテリジェンス分野)は、台北に新たに設立された経済安全保障専門のシンクタンク「Democracy, Society, and Emerging Technologies(DSET)」の専門家を招きセミナーを開催致しました。(2025/5/21)
台湾、日本、インド太平洋地域全体にとって重要かつタイムリーな3つのテーマについて、専門家によるパネルディスカッションを行い、以下の議題について議論しました。
1.台湾および日本におけるトランプ政権2.0への認識
2.台湾と日本における研究セキュリティ
3.海底ケーブルインフラ協力
セッション1.台湾および日本におけるトランプ政権2.0への認識
DSETの代表であるWen-Ling Tu氏、DSETの副代表であるHsien-Ming Lien氏、およびRCASTの井形彬特任講師は、トランプ前政権の関税政策が台湾の半導体産業に与える影響について議論しました。



セッション2. イノベーションと安全保障の両立:研究セキュリティに関する比較視点
DSETのCEOであるJeremy Chih-Cheng Chang氏は、台湾のAIおよび半導体産業が直面する安全保障上の課題を指摘。中国による技術流出や人材獲得のリスクに対抗するため、台湾政府が導入している各種法制度(例:両岸人民関係条例、国家安全法等)を紹介しました。一方で、国家安全審査に関する法整備の遅れが課題として残っていることも指摘されました。 これに対し、日本側からはRCASTの久光客員研究員が、日本の研究安全保障政策の事例として、AIを活用したFRONTEO社の「KIBIT」システムを紹介。G7の研究安全保障原則に基づいた日本のアプローチが説明されました。


セッション3 – 見えないインフラ、可視化されたリスク:海底ケーブルと経済レジリエンス
DSETの研究員であるTsaiying Lu氏、RCASTのトン客員研究員、および株式会社国際社会経済研究所(IISE)の多田 崇氏が、台湾周辺の海底ケーブルに対する物理的脅威や法的空白について議論。台湾の法制度の断片性や調査・修復能力の制約が明らかとなりました。
さらに、バルト海地域との比較研究も紹介され、ロシアや中国といった「悪意あるアクター」による妨害活動への対応の必要性が指摘された。日本における海底ケーブルの「重要インフラ」指定や専用ファンドの創設など、積極的な対応が他地域の参考となることが強調されました。





