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次なるAI安全保障の課題:フロンティアAIがもたらすリスクと日米の視座
東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、SPF USAと共催で、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
次なるAI安全保障の課題:
フロンティアAIがもたらすリスクと日米の視座
昨年共催したシンポジウム「日米AIセキュリティ協力:偽情報・サイバー脅威に関する敵対的AIリスクと緩和戦略」では、日本ではまだ本格的な議論が始まったばかりだった偽情報の問題について、敵対的AIがその拡散をいかに加速させ得るかを取り上げました。この一年の間に、テキスト・音声・映像といった生成AIを用いた偽情報の脅威は一層切迫したものとなり、日本を取り巻く地政学的緊張も高まるなかで、当時の議論の意義が明確化されています。
「フロンティアAI」と呼ばれる最先端のAI技術が急速に発展する中で、近い将来、私たちはどのような新たなリスクに直面することになるのでしょうか。本シンポジウムは昨年の議論を土台とし、国家のレジリエンスと国際安全保障において中核的なテーマとなる論点を先取りして検討することを目的としています。生成AIやエージェント型システムの急速な進歩に加え、AIがバイオテクノロジー、量子コンピューティング、自律型システム、高度なサイバーインフラといった異なる分野の先端技術と融合しつつあることで、戦略環境は大きく変化し、従来の安全保障とガバナンスの枠組みは一段と複雑になっています。本イベントでは、こうした変化が経済分野と安全保障分野の双方にどのような新たなリスクを生み出しているのか、敵対的なAI利用が増える時代においてAIの信頼性をどのように確保すべきか、そして日米協力が国際標準化やレジリエンス強化、イノベーションとリスク緩和のバランス確保と言った点にいかに貢献しうるかを議論します。
本公開シンポジウムは、まずSPF USA NEXT Alliance Initiative シニア・ディレクターのジム・ショフ氏によるオープニングスピーチにて、AI技術と政策を巡る最新の国際状況の紹介が行われます。続いて、政府・研究開発・官僚と異なるバックグラウンドを持つ米国の第一線の専門家3名が登壇します。米国国土安全保障省の科学技術次官を務め、現在は核脅威イニシアティブ(NTI)科学技術担当バイス・プレジデントであるディミトリ・クスネゾフ氏は、新興技術の安全確保に関する国家レベルの視点を提示します。MITREコーポレーションでAIの信頼性・安全性確保を担当するリードAIエンジニアのマリッサ・ドッター氏は、脅威インフォームド・ディフェンスおよびAI活用システムのセキュリティに関する高度な技術的知見を提供します。さらに、「ランド研究所 汎用人工知能(AGI)に関する地政学研究センター」のレジデント・テクニカル・エキスパートであるマット・チェッセン氏は、インド太平洋地域のAI政策に長年携わってきた経験を踏まえ、外交・地政学の観点から論じます。そして、パネルディスカッションでは東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬がモデレーターを務め、急速に進化するAI能力がもたらすガバナンスおよび経済安全保障上の課題を包括的に検討します。
開催概要
| 開催日 | 2025年12月12日(金)10:00~11:30(9:30受付開始) |
|---|---|
| 開催場所 | 東京大学 先端科学技術研究センター 3号館南棟1階 ENEOSホール |
| 定員 | 172名 |
| 参加費 | 無料 |
| 登壇者 | オープニングスピーチ ・James Schoff (SPF USA シニア・ディレクター) パネリスト ・Dimitri Kusnezov(核脅威イニシアティブ 科学技術担当バイス・プレジデント、元米国国土安全保障省 科学技術次官) ・Marissa Dotter (MITREコーポレーション AIの信頼性・安全性確保担当分野 リードAIエンジニア) ・Matt Chessen (汎用人工知能(AGI)に関する地政学研究センター レジデント・テクニカル・エキスパート) モデレーター ・井形彬(東京大学先端科学技術研究センター 特任講師) |
| 言語 | 英語(日英同時通訳あり) |
| 申込方法 | 要事前申込 Googleフォームより申込み受付 https://forms.gle/fwSYyvZrP7Ao9KL2A |
| その他 | イベント開催報告はこちら |

2012年から毎年恒例の日本の内外の高校生が東大の内部が覗けるプログラム、「東大の研究室をのぞいてみよう!」に私たち、井形研究室も参加いたします!(最近ホットな)経済安全保障に日々取り組む研究者たちや学生たちの生態をご覧になってみませんか?
この頃、地政学的緊張により、国家は軍事力だけでなく経済や情報を用いた政策を強化しています。半導体・AI・バイオなどの先端技術を巡る国際競争やサプライチェーン強靱化に加え、生成AIで偽情報・影響力工作が高度化し、インテリジェンスの重要性が高まっています。今回のイベントでは、経済安全保障の基礎と各国の最新動向を講義すると共に、本研究室所属の学生活動を紹介し、最後は質疑応答を通じて全参加者で議論を深める予定です。
3/26には対面で2回、3/27にはオンラインで2回、参加の機会をもうけております。
(*全て同内容となります。)
2026年3月26日(木)の対面参加者には、駒場IIキャンパスの先端科学技術研究センターを見学する時間のほか、レクチャー後に会場でレクチャーを担当する井形特任講師と数名の研究所メンバーとお話しする機会が用意されています。
2026年3月27日(金)はオンライン開催のため、遠方の方にも参加のチャンスがございます。
皆様の積極的なご参加をお待ちしております!

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、ベルリン自由大学歴史・文化学部非常勤講師、日本経済新聞社欧州駐在編集委員の赤川省吾氏を招へいし、以下の公開セミナーを開催いたします。
東ドイツの対日工作:
機密文書が明かす日本政財界と情報戦、そして現在への教訓
本セミナーでは、2025年10月に刊行された新著『日独冷戦秘史:東独機密文書が語る歴史の真実』(慶應義塾出版会)の著者である赤川省吾博士を迎え、冷戦期に旧東ドイツが展開した対日工作の実態について講演いただきます。本書は、旧東ドイツの膨大な機密文書や元政府高官へのインタビューに基づき、これまで十分に解明されてこなかった対日政策と工作活動の全体像を明らかにした労作です。東西冷戦の最前線の一つとして日本がどのように位置付けられ、どのような接触や働きかけが行われていたのかを、一次史料に即して検証しています。
講演では、日本の政財界やメディアとの関係構築、経済交流を装った工作、ココム規制に違反する半導体技術移転事件をはじめとする産業スパイ活動など、本書で明らかにされた具体的事例をもとに、東ドイツの対日工作がどのように展開されたのかを解説いただきます。冷戦の本質を十分に見誤った結果、日本側がいかにして情報戦や影響力工作に絡め取られていったのか。その過程を丹念にたどることで、戦後日本の国際環境認識や対外経済関係の脆弱性も浮かび上がります。
あわせて本セミナーでは、こうした冷戦期の経験が現在の国際環境にどのような教訓を与えるのかについても掘り下げます。強権国家による情報戦、産業スパイ、偽情報や影響力工作、科学技術をめぐる競争は、形を変えながら今日の国際政治や経済安全保障の中核的課題となっています。歴史的事例の分析を手掛かりに、現代の情報環境におけるリスクと向き合い方について、参加者とのディスカッションを通じて考える機会とします。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、駐日アイスランド大使館と共催で、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
【アイスランド外務大臣招聘シンポジウム】
日-アイスランド経済安全保障協力:
北極とインド太平洋を結ぶ戦略的連携
本シンポジウムでは、ソルゲルズル・カトリン・グンナルスドッティル・アイスランド外務大臣を招聘し、主に経済安全保障の視点から日・アイスランド関係の可能性について議論します。グンナルスドッティル外務大臣は、教育・科学・文化大臣や農業・漁業大臣、首相代行などを歴任しており、その幅広い政策経験と戦略的知見を踏まえ、北極とインド太平洋を見据えた日・アイスランド協力の新たな可能性を展望します。
両国は、民主主義や法の支配といった共通の価値観を基盤に、自由貿易体制の維持、戦略的物資の安定供給、先端技術を活用したエネルギー協力など、幅広い分野で連携を深めています。
とりわけ北極をめぐっては、北極評議会の枠組みを通じた科学協力や環境保全の分野において、日本はアイスランドにとって重要なパートナーとなってきました。気候変動による海氷の縮小は北極海航路の活用可能性を高めると同時に、漁業活動の範囲の拡大や新たな経済活動の展開をもたらしつつあります。こうした変化は、資源管理や監視体制の在り方に対する国際的な関心を高めるとともに、海洋環境や生物資源の持続可能性を確保するための制度的対応を一層重要な課題としています。その結果、北極をめぐる議論は、環境協力にとどまらず、広域の安全保障環境や地域秩序の在り方とも密接に交差するようになっています。
さらに、北極圏およびその周辺は、経済安全保障の観点からも急速に重要性を増しています。海底を通る通信ケーブルを含む海底インフラは、グローバルな経済活動と情報ネットワークを支える基盤であり、その保全と安定的運営はサプライチェーンやデータ流通の強靭性と直結しています。また、北極圏に存在する鉱物資源や希少資源への関心も高まっています。これらは先端技術やクリーンエネルギー分野に不可欠であり、国家による経済的威圧によるサプライチェーンリスクが顕在化する中で、供給源の多様化と安定的確保の重要性が国際的に強調されています。加えて、地熱を中心としたクリーンエネルギー分野は、両国の強みを活かした国際協力のモデルとなる可能性を持ち、持続可能性と経済安全保障を両立させる実践例として注目されています。
本シンポジウムでは、北極とインド太平洋という二つの戦略空間を結びつける視座から、価値観を共有するパートナー間の協力がいかに地域秩序の安定と経済の強靭性に資するのかを考察します。変化の加速する国際環境の中で、日・アイスランド関係が果たし得る役割について、多角的に議論する機会といたします。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス・ラボ(ESIL)は、テンプル大学ジャパンキャンパス 現代アジア研究所(ICAS)との共催により、ブラウンバッグ・ランチセミナー(※昼食は各自ご持参ください)を開催いたします。
「分断化する安全保障秩序におけるウクライナと日本」
― ウクライナからの招聘専門家および前駐日ウクライナ大使を迎えて ―
2022年2月に開始されたロシアによるウクライナへの全面侵攻は、2026年2月に4年目を迎えました。本侵攻は依然として継続する長期的な紛争であり、欧州の安全保障のみならず、国際法秩序やグローバルな勢力均衡に関する根本的な問いを提起しています。この戦争は主要国間の協力と分断の双方を浮き彫りにし、アジア諸国—日本を含む—にも対応のあり方を問いかけています。日本政府は外交的・物質的支援を通じてウクライナへの連帯を示してきましたが、同時に変化する国際秩序の中で自国の戦略的立ち位置を再検討する必要にも迫られています。
ウクライナ侵攻は、日本にとって防衛姿勢および国際社会における役割を大きく再考する契機となりました。アジアの民主主義諸国は、ウクライナを遠隔地の事例としてではなく、自らの安全保障を映す鏡として捉えるようになりました。とりわけ、米国のような従来の安全保障の担い手が世界的役割を再調整する中、日本は国際社会においてより大きな責任を果たすことが求められています。これらの議論は、エネルギー安全保障、経済的レジリエンス、サプライチェーン依存、ルールに基づく国際秩序への挑戦といった広範な課題とも交差しています。軍事侵略への抵抗や、安全保障・技術・情報戦略の適応というウクライナの経験は、欧州およびインド太平洋地域において持続的なハイブリッド脅威に直面する民主主義国にとって重要な示唆を提供します。
本セミナーでは、ウクライナを代表する専門家および前駐日大使をお迎えし、これらの課題を多角的に検討します。議論では、日本とウクライナが相互にどのような教訓を学び合い、両地域の安全保障とレジリエンスをいかに強化できるかを探ります。
