揺れ動く国際情勢と学問の自由:大学の自律性はいかに守られるべきか
東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、Institute of Contemporary Asian Studies (ICAS), Temple University Japanとの共催で、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
Shifting international dynamics and academic freedom: How can university autonomy be protected?
(揺れ動く国際情勢と学問の自由:大学の自律性はいかに守られるべきか)
本ウェビナーでは、英国シェフィールド・ハラム大学のローラ・マーフィー教授をお迎えし、民主主義国の大学が直面しつつある越境的な圧力と、その影響について最新の事例を交えながら議論します。
マーフィー教授が長年取り組んできたウイグル地域における強制労働の研究は、2024年にかつてない干渉を受けました。その結果、シェフィールド・ハラム大学は2025年に教授の研究を打ち切る決定を下し、この出来事はBBCやガーディアンなどの主要メディアによって広く報じられました。マーフィー教授の事例は、外部勢力が学術的探究に影響を及ぼし、それを抑え込もうとする可能性をめぐって、深刻な議論を引き起こしています。こうした一件やその他の最近の例を踏まえ、本ウェビナーでは、変化する国際情勢が大学に対して新たな形の越境的圧力を生み出している状況と、それが学問の自由および大学の組織としての自律性にとって何を意味するのかを検討します。
本セッションでは、透明性や情報の入手や利用、ガバナンス、制度的な安全策などへの制約も含め、こうした圧力が研究者、学生、研究機関に及ぼすより広い影響について考察します。世界的な政治的不確実性が高まり続けるなか、これらの問題は日本の大学にとってもますます重要になっています。本イベントは、高等教育機関が学問の自由をより適切に守り、研究環境の健全性と信頼性を確保するためにどのような対応が可能かについて、研究者、大学管理者、学生の皆さまに示唆を提供することを目的としています。
ウェビナーではローラ・T・マーフィー教授の講演に加え、テンプル大学ジャパンキャンパスICASのロバート・デュジャリック氏による開会挨拶、東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)の井形彬特任講師がモデレーターを務めます。
【スピーカー略歴】
ローラ・T・マーフィー氏は、シェフィールド・ハラム大学(英国)ヘレナ・ケネディ国際司法センターの人権・現代奴隷制教授。NEH Public Scholar Awardを受賞、英国学士院ビジティング・フェロー、National Humanities CenterのJohn G. Medlin Jr. Fellowなどに選出された。現代奴隷制や奴隷制の表象・語りに関する研究で多数の著書・編著を持つ。近年はウイグル地域における収容・強制労働と国際サプライチェーンの関係を調査し、複数産業にまたがる関連を報告するとともに、米英EU豪などで専門的証言・助言を行っている。インド、ナイジェリア、ガーナ、米国、カナダでの強制労働研究や、医療現場での人身取引対応指針の策定にも携わり、WHOや各国政府機関、労組、投資家団体、法律事務所、NGO等への助言経験も豊富。