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多極化世界のイスラエルと日本―大国間競争に巻き込まれるミドルパワーの行方
東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、イスラエルのシンクタンクSIGNAL Groupの代表団を招き、公開セミナー “Israel and Japan in an increasingly Multipolar World — How Middle Powers are caught in Great Powers competition” を開催します。
米中の大国間競争は、冷戦後の国際秩序が揺らぐ中で世界の分断と不安定化を深めており、中堅国は伝統的同盟を優先するのか、多国間秩序を支えるのかという難しい立場に置かれています。イスラエルと日本はその象徴的な例であり、両国とも大国間競争の時代に中堅国としてのジレンマの最前線にあります。
SIGNAL代表団は、この状況に直接向き合う専門家・政策関係者で構成されており、イスラエルの対中関与に特化した唯一のシンクタンクとして、インド太平洋の安全保障や米中の経済・政治競争に関するイスラエル側の視点を提示します。日本側の視点とあわせて、多極化が進む世界における多国間主義の将来について議論します。
開催概要
| 開催日 | 2025年12月8日(月)13:30~15:00 |
|---|---|
| 開催場所 | 東京大学 先端科学技術研究センター(駒場IIキャンパス) 4号館2階講堂 |
| 定員 | 100名 |
| 参加費 | 無料 |
| 登壇者 | スピーカー カリス・ウィッテ(Carice Witte) SIGNAL Group 創設者兼エグゼクティブ・ディレクター。2011年に中イスラエル間のトラック2対話を立ち上げるとともに、中国人大学教員を対象にイスラエルでイスラエル研究を教えるための研修プログラムを開始し、中国各地でイスラエル研究プログラムの設立を主導した。中国およびイスラエルにおいて1,500回以上のブリーフィングを実施している。2016年にはイスラエル年次中国政策会議を創設し、その後、半年ごとの中イスラエル政策対話を開始。2017年から2021年にかけては中・イスラエル・米国によるトラック2政策対話を主催した。2019年には、中国の変化するグローバルな役割に焦点を当てた国際専門家、政策立案者、政府関係者向けのセミナーシリーズを立ち上げた。中国の影響力拡大に伴い、SIGNAL Groupの活動範囲をインド太平洋地域へと拡大し、アジア各地の国際安全保障会議で頻繁に講演している。中イスラエル関係の権威として、両国関係、中国の政策改革、およびそれがイスラエルと中東に与える影響について幅広く発表してきた。研究分野には、中国のグローバル・ガバナンスにおける役割、グローバル発展イニシアティブ、グローバル安全保障イニシアティブ、グローバル文明イニシアティブ、ならびに習近平思想、特に「人類運命共同体」構想がイスラエルおよび中東に与える影響が含まれる。イスラエル外交問題評議会の理事を務める。1987年に米国からイスラエルへ移住。イェール大学卒業。5人の母であり、4人の祖母。 ニツァン・ホロヴィッツ(Nitzan Horowitz) メレツ党および民主同盟の党首。2021年から2022年までイスラエル保健相を務めた。2009年から2015年までイスラエル国会議員として2期連続で在任。多様性を促進し、宗教的強制に反対するNGO「Israel for Freedom」の創設者。 マーク・ルーバン(Marc Luban) イスラエル財務省主席エコノミスト局国際部門(International Unit of the Chief’s Economist’s Office)における国際関係ディレクター。2005年以降、OECDおよびASEAN諸国に関する経済・政策レビューを担当し、中国経済に関する詳細な分析を通じて、イスラエルの外交政策およびビジネス環境の形成に貢献してきた。 シーリー・レイシン・サッソン(Shirly Raisin Sasson) 移民政策および国際業務運営の専門家。イスラエル人口・移民庁において20年以上の実務経験を有する。近年は同庁の二国間協定部門ディレクターとして、外国人労働者の募集および雇用に関する協定の全過程に責任を負ってきた。政府間交渉の主導、実施計画の策定、政府主導の採用メカニズムの構築・運営などを担当。イスラエル国内外の政府機関、国際機関、経済分野の専門団体と広範な協力関係を維持しており、外国人労働者の募集・雇用に関するイスラエルの規制形成に貢献している。 レナ・ツァイガー(Lena Zeiger) 経済学者および公共政策の専門家。国際貿易および政府調達、原産地規則、通関手続、サービス貿易、投資保護などの分野で豊富な経験を有する。2005年よりイスラエル経済省に勤務し、現在は対外貿易庁における貿易政策・国際協定担当上級部門の副部長。自由貿易協定に関する二国間および多国間交渉を多数主導し、WTOやOECDなどの国際機関でイスラエル代表を務めてきた。日常業務には、イスラエル経済ミッションと連携し、輸出促進や貿易障壁の除去を進めることも含まれる。2016年から2020年まではOECDイスラエル経済ミッション長を務めた。 モデレーター 井形彬(東京大学先端科学技術研究センター 特任講師) |
| 言語 | 英語 |
| 申込方法 | https://forms.gle/XTCbPMq6GuWRpLHR9 |
| その他 | イベント開催報告はこちら |

2012年から毎年恒例の日本の内外の高校生が東大の内部が覗けるプログラム、「東大の研究室をのぞいてみよう!」に私たち、井形研究室も参加いたします!(最近ホットな)経済安全保障に日々取り組む研究者たちや学生たちの生態をご覧になってみませんか?
この頃、地政学的緊張により、国家は軍事力だけでなく経済や情報を用いた政策を強化しています。半導体・AI・バイオなどの先端技術を巡る国際競争やサプライチェーン強靱化に加え、生成AIで偽情報・影響力工作が高度化し、インテリジェンスの重要性が高まっています。今回のイベントでは、経済安全保障の基礎と各国の最新動向を講義すると共に、本研究室所属の学生活動を紹介し、最後は質疑応答を通じて全参加者で議論を深める予定です。
3/26には対面で2回、3/27にはオンラインで2回、参加の機会をもうけております。
(*全て同内容となります。)
2026年3月26日(木)の対面参加者には、駒場IIキャンパスの先端科学技術研究センターを見学する時間のほか、レクチャー後に会場でレクチャーを担当する井形特任講師と数名の研究所メンバーとお話しする機会が用意されています。
2026年3月27日(金)はオンライン開催のため、遠方の方にも参加のチャンスがございます。
皆様の積極的なご参加をお待ちしております!

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、ベルリン自由大学歴史・文化学部非常勤講師、日本経済新聞社欧州駐在編集委員の赤川省吾氏を招へいし、以下の公開セミナーを開催いたします。
東ドイツの対日工作:
機密文書が明かす日本政財界と情報戦、そして現在への教訓
本セミナーでは、2025年10月に刊行された新著『日独冷戦秘史:東独機密文書が語る歴史の真実』(慶應義塾出版会)の著者である赤川省吾博士を迎え、冷戦期に旧東ドイツが展開した対日工作の実態について講演いただきます。本書は、旧東ドイツの膨大な機密文書や元政府高官へのインタビューに基づき、これまで十分に解明されてこなかった対日政策と工作活動の全体像を明らかにした労作です。東西冷戦の最前線の一つとして日本がどのように位置付けられ、どのような接触や働きかけが行われていたのかを、一次史料に即して検証しています。
講演では、日本の政財界やメディアとの関係構築、経済交流を装った工作、ココム規制に違反する半導体技術移転事件をはじめとする産業スパイ活動など、本書で明らかにされた具体的事例をもとに、東ドイツの対日工作がどのように展開されたのかを解説いただきます。冷戦の本質を十分に見誤った結果、日本側がいかにして情報戦や影響力工作に絡め取られていったのか。その過程を丹念にたどることで、戦後日本の国際環境認識や対外経済関係の脆弱性も浮かび上がります。
あわせて本セミナーでは、こうした冷戦期の経験が現在の国際環境にどのような教訓を与えるのかについても掘り下げます。強権国家による情報戦、産業スパイ、偽情報や影響力工作、科学技術をめぐる競争は、形を変えながら今日の国際政治や経済安全保障の中核的課題となっています。歴史的事例の分析を手掛かりに、現代の情報環境におけるリスクと向き合い方について、参加者とのディスカッションを通じて考える機会とします。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、駐日アイスランド大使館と共催で、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
【アイスランド外務大臣招聘シンポジウム】
日-アイスランド経済安全保障協力:
北極とインド太平洋を結ぶ戦略的連携
本シンポジウムでは、ソルゲルズル・カトリン・グンナルスドッティル・アイスランド外務大臣を招聘し、主に経済安全保障の視点から日・アイスランド関係の可能性について議論します。グンナルスドッティル外務大臣は、教育・科学・文化大臣や農業・漁業大臣、首相代行などを歴任しており、その幅広い政策経験と戦略的知見を踏まえ、北極とインド太平洋を見据えた日・アイスランド協力の新たな可能性を展望します。
両国は、民主主義や法の支配といった共通の価値観を基盤に、自由貿易体制の維持、戦略的物資の安定供給、先端技術を活用したエネルギー協力など、幅広い分野で連携を深めています。
とりわけ北極をめぐっては、北極評議会の枠組みを通じた科学協力や環境保全の分野において、日本はアイスランドにとって重要なパートナーとなってきました。気候変動による海氷の縮小は北極海航路の活用可能性を高めると同時に、漁業活動の範囲の拡大や新たな経済活動の展開をもたらしつつあります。こうした変化は、資源管理や監視体制の在り方に対する国際的な関心を高めるとともに、海洋環境や生物資源の持続可能性を確保するための制度的対応を一層重要な課題としています。その結果、北極をめぐる議論は、環境協力にとどまらず、広域の安全保障環境や地域秩序の在り方とも密接に交差するようになっています。
さらに、北極圏およびその周辺は、経済安全保障の観点からも急速に重要性を増しています。海底を通る通信ケーブルを含む海底インフラは、グローバルな経済活動と情報ネットワークを支える基盤であり、その保全と安定的運営はサプライチェーンやデータ流通の強靭性と直結しています。また、北極圏に存在する鉱物資源や希少資源への関心も高まっています。これらは先端技術やクリーンエネルギー分野に不可欠であり、国家による経済的威圧によるサプライチェーンリスクが顕在化する中で、供給源の多様化と安定的確保の重要性が国際的に強調されています。加えて、地熱を中心としたクリーンエネルギー分野は、両国の強みを活かした国際協力のモデルとなる可能性を持ち、持続可能性と経済安全保障を両立させる実践例として注目されています。
本シンポジウムでは、北極とインド太平洋という二つの戦略空間を結びつける視座から、価値観を共有するパートナー間の協力がいかに地域秩序の安定と経済の強靭性に資するのかを考察します。変化の加速する国際環境の中で、日・アイスランド関係が果たし得る役割について、多角的に議論する機会といたします。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス・ラボ(ESIL)は、テンプル大学ジャパンキャンパス 現代アジア研究所(ICAS)との共催により、ブラウンバッグ・ランチセミナー(※昼食は各自ご持参ください)を開催いたします。
「分断化する安全保障秩序におけるウクライナと日本」
― ウクライナからの招聘専門家および前駐日ウクライナ大使を迎えて ―
2022年2月に開始されたロシアによるウクライナへの全面侵攻は、2026年2月に4年目を迎えました。本侵攻は依然として継続する長期的な紛争であり、欧州の安全保障のみならず、国際法秩序やグローバルな勢力均衡に関する根本的な問いを提起しています。この戦争は主要国間の協力と分断の双方を浮き彫りにし、アジア諸国—日本を含む—にも対応のあり方を問いかけています。日本政府は外交的・物質的支援を通じてウクライナへの連帯を示してきましたが、同時に変化する国際秩序の中で自国の戦略的立ち位置を再検討する必要にも迫られています。
ウクライナ侵攻は、日本にとって防衛姿勢および国際社会における役割を大きく再考する契機となりました。アジアの民主主義諸国は、ウクライナを遠隔地の事例としてではなく、自らの安全保障を映す鏡として捉えるようになりました。とりわけ、米国のような従来の安全保障の担い手が世界的役割を再調整する中、日本は国際社会においてより大きな責任を果たすことが求められています。これらの議論は、エネルギー安全保障、経済的レジリエンス、サプライチェーン依存、ルールに基づく国際秩序への挑戦といった広範な課題とも交差しています。軍事侵略への抵抗や、安全保障・技術・情報戦略の適応というウクライナの経験は、欧州およびインド太平洋地域において持続的なハイブリッド脅威に直面する民主主義国にとって重要な示唆を提供します。
本セミナーでは、ウクライナを代表する専門家および前駐日大使をお迎えし、これらの課題を多角的に検討します。議論では、日本とウクライナが相互にどのような教訓を学び合い、両地域の安全保障とレジリエンスをいかに強化できるかを探ります。
