先端技術と安全保障

2012年から毎年恒例の日本の内外の高校生が東大の内部が覗けるプログラム、「東大の研究室をのぞいてみよう!」に私たち、井形研究室も参加いたします!(最近ホットな)経済安全保障に日々取り組む研究者たちや学生たちの生態をご覧になってみませんか?
この頃、地政学的緊張により、国家は軍事力だけでなく経済や情報を用いた政策を強化しています。半導体・AI・バイオなどの先端技術を巡る国際競争やサプライチェーン強靱化に加え、生成AIで偽情報・影響力工作が高度化し、インテリジェンスの重要性が高まっています。今回のイベントでは、経済安全保障の基礎と各国の最新動向を講義すると共に、本研究室所属の学生活動を紹介し、最後は質疑応答を通じて全参加者で議論を深める予定です。
3/26には対面で2回、3/27にはオンラインで2回、参加の機会をもうけております。
(*全て同内容となります。)
2026年3月26日(木)の対面参加者には、駒場IIキャンパスの先端科学技術研究センターを見学する時間のほか、レクチャー後に会場でレクチャーを担当する井形特任講師と数名の研究所メンバーとお話しする機会が用意されています。
2026年3月27日(金)はオンライン開催のため、遠方の方にも参加のチャンスがございます。
皆様の積極的なご参加をお待ちしております!

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、SPF USAと共催で、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
次なるAI安全保障の課題:
フロンティアAIがもたらすリスクと日米の視座
昨年共催したシンポジウム「日米AIセキュリティ協力:偽情報・サイバー脅威に関する敵対的AIリスクと緩和戦略」では、日本ではまだ本格的な議論が始まったばかりだった偽情報の問題について、敵対的AIがその拡散をいかに加速させ得るかを取り上げました。この一年の間に、テキスト・音声・映像といった生成AIを用いた偽情報の脅威は一層切迫したものとなり、日本を取り巻く地政学的緊張も高まるなかで、当時の議論の意義が明確化されています。
「フロンティアAI」と呼ばれる最先端のAI技術が急速に発展する中で、近い将来、私たちはどのような新たなリスクに直面することになるのでしょうか。本シンポジウムは昨年の議論を土台とし、国家のレジリエンスと国際安全保障において中核的なテーマとなる論点を先取りして検討することを目的としています。生成AIやエージェント型システムの急速な進歩に加え、AIがバイオテクノロジー、量子コンピューティング、自律型システム、高度なサイバーインフラといった異なる分野の先端技術と融合しつつあることで、戦略環境は大きく変化し、従来の安全保障とガバナンスの枠組みは一段と複雑になっています。本イベントでは、こうした変化が経済分野と安全保障分野の双方にどのような新たなリスクを生み出しているのか、敵対的なAI利用が増える時代においてAIの信頼性をどのように確保すべきか、そして日米協力が国際標準化やレジリエンス強化、イノベーションとリスク緩和のバランス確保と言った点にいかに貢献しうるかを議論します。
本公開シンポジウムは、まずSPF USA NEXT Alliance Initiative シニア・ディレクターのジム・ショフ氏によるオープニングスピーチにて、AI技術と政策を巡る最新の国際状況の紹介が行われます。続いて、政府・研究開発・官僚と異なるバックグラウンドを持つ米国の第一線の専門家3名が登壇します。米国国土安全保障省の科学技術次官を務め、現在は核脅威イニシアティブ(NTI)科学技術担当バイス・プレジデントであるディミトリ・クスネゾフ氏は、新興技術の安全確保に関する国家レベルの視点を提示します。MITREコーポレーションでAIの信頼性・安全性確保を担当するリードAIエンジニアのマリッサ・ドッター氏は、脅威インフォームド・ディフェンスおよびAI活用システムのセキュリティに関する高度な技術的知見を提供します。さらに、「ランド研究所 汎用人工知能(AGI)に関する地政学研究センター」のレジデント・テクニカル・エキスパートであるマット・チェッセン氏は、インド太平洋地域のAI政策に長年携わってきた経験を踏まえ、外交・地政学の観点から論じます。そして、パネルディスカッションでは東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬がモデレーターを務め、急速に進化するAI能力がもたらすガバナンスおよび経済安全保障上の課題を包括的に検討します。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、ジョージア前国防大臣ティナティン・ヒダシェリ氏を迎え、以下の公開シンポジウムを開催いたします。
Frontlines of Influence: Russia, China, and the Hybrid Contest over Georgia
(影響力の最前線-ロシア・中国とジョージアをめぐるハイブリッド競争)
近年ジョージアは、欧州とのさらなる統合を目指す一方、モスクワや北京を中心とする権威主義的ネットワークの影響力拡大のはざまで、地政学的な岐路に立たされています。コーカサス地方の小国でありながら、ジョージアの現状は今日の国際社会が直面する喫緊の戦略課題を映し出しています。ロシアによるエリート層への働きかけと民主主義の後退、中国の経済的関与が生む依存や不透明な資金フロー、市民社会や野党を萎縮させる市民社会の活動空間の急速な侵食などがその典型例です。
本シンポジウムでは、ジョージアのシンクタンク「Civic Idea」を率いる、ヒダシェリ前国防大臣が基調講演を行い、国内政治の現状やロシアが果たす役割を概説します。また、南シナ海や台湾周辺のグレーゾーン事態にも見られるようなハイブリッド戦の「実験場」としてジョージアがどのように位置付けられているのかを考察します。さらに、黒海に面した戦略的に重要性を増しているアナクリア港をはじめとする中国のジョージアへの投資の約束、コーカサス地域の接続性をめぐる戦略的文脈、日本が同様の圧力に直面する国々を支援する上で担いうる役割についても議論します。
これらの課題はジョージアに限られたものではありません。権威主義国家に由来する情報操作は国際的に深刻な影響を及ぼしており、日本にとっても無縁ではありません。ジョージア国内で市民社会のスペースが縮小する中、ヒダシェリ氏自身も大規模な偽情報攻撃の標的となっています。その代表的な例として、彼女を「台湾の代理人」と虚偽で描き、日本政府が彼女に「働きかけのための賄賂を渡した」とまで主張する荒唐無稽なテレビ番組が挙げられます。
今回は、三名の専門家が議論を深めます。ドイツ国際政治安全保障研究所(DGAP)のAya Adachi博士は、中国のジョージアにおける経済的影響力に関する研究知見を共有します。東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野のマヤ・ソブチュクは、ジョージアに対するロシアの影響力工作に関する研究をもとに議論を展開します。モデレーターは井形彬が務め、小規模民主国家の戦略的レジリエンス、欧州とアジアの安全保障への含意、日本を含むパートナー国の政策オプションという三つの主要テーマに沿って議論を導きます。

東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)は、テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)現代アジア研究所(ICAS)と共催で、以下の公開セミナーを開催いたします。
「新たな核時代における日本:不確実な世界における安定の模索」
現在、核兵器は冷戦期以来見られなかった形で、再び国際政治の前面に浮上しています。ロシアによる核使用の示唆、中国および北朝鮮の核戦力増強、中東・欧州・東アジアにおける拡散の可能性など、国際社会は高度な核リスクに晒された「新たな核の時代」に突入しています。
本セミナーでは、カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)核政策プログラムのスタントン上級研究員であるアンキット・パンダ氏を迎え、近著 『The New Nuclear Age: At the Precipice of Armageddon』(Polity, 2025)の議論をもとに、現代の核リスク構造とその安定化に向けた方策について講演いただきます。
冷戦期との共通点に加え、AIを含む新技術の台頭、複数の核保有国の存在、そしてそれぞれの戦略文化の差異が、今世紀の核秩序にどのような複雑性をもたらしているのか。政策立案者や軍事当局はこの現実をいかに捉え、最悪のシナリオをどう回避しうるのか。核戦略・抑止理論・ミサイル防衛・同盟政策を横断する議論が展開されます。

2025年7月7日、東京大学先端科学技術研究センター 経済安全保障インテリジェンス分野は、ハンガリー・ブダペストのコルヴィヌス大学からヌーノ・モルガド博士、チェコ共和国防衛大学から細田尚志博士を招聘し、セミナーを開催します。本セミナーでは、危機的状況下において各国政府がどの程度の対応能力を発揮できるかを、日本と台湾を事例とした比較研究の形で検討します。
Future Potentials Observatory(FPO)のGeopolitical Frontiers Teamによる研究を基に、台湾と日本の国家機能維持能力や戦略的備えについての分析を紹介する二部構成のセッションです。
ヌーノ・モルガド博士(ハンガリー・ブダペスト コルヴィヌス大学)
新古典派地政学の理論的基盤について講演。
細田 隆志博士(チェコ国防大学 助教)
台湾と日本が長期危機時に国家機能を維持する能力についての実証分析を発表。
発表では、台湾の海上物流や輸送能力、国内備蓄、資源代替手段、日本の戦略的備えなどを事例として取り上げます。また、現代の安全保障環境における「地政学的誤認(geomisguidance)」が戦略的意思決定に与える影響についても議論します。

東京大学先端科学技術研究センター 経済安全保障プログラムは、ランド研究所(RAND Corporation)と共催で、以下の公開セミナーを開催いたします。
「日米韓トライラテラリズムの実践:経済的レジリエンスのための重要鉱物供給網の確保」
戦略的競争が激化し、経済的強制措置が世界貿易の構図を変えつつある中、重要鉱物の供給網を強靭化することは、政策立案者や産業界のリーダーにとって最優先課題となっています。日本、アメリカ合衆国、大韓民国の3つの主要なインド太平洋地域の民主主義国は、商業および防衛関連の両方の供給網における脆弱性に対応するため、協力を強化しつつあります。
本公開セミナーでは、ランド研究所の第一線の専門家を迎え、日米韓の三国間協力が、トランプ政権2期目の下でどのように経済安全保障や供給網の強靭化を促進できるかを検討します。

【開会挨拶】
Dr. Dung-Sheng Chen
台湾大学 特聘教授/DSET
チェン教授は、討議民主主義や市民社会、新興テクノロジーの政治経済を専門とし、台湾における民主的レジリエンス強化や社会イノベーションの推進に中心的な役割を果たしている研究者
【モデレーター】
Dr. Wen-Ling Tu氏
DSET 会長/国立政治大学 特聘教授
トゥ教授は、台湾の「社会的レジリエンスに関する国家委員会」の委員を務め、経済部(経済省)から任命され、放射性廃棄物処理プロジェクト事務局の責任者も務める
井形 彬
東京大学先端科学技術研究センター(経済安全保障インテリジェンス分野)特任講師。国際シンクタンクや政策機関と幅広く連携し、経済安全保障政策の専門家として活動
【パネリスト】
[セッション1] 戦略的不確実性への対応:トランプ2.0時代における日台協調
Dr. Hsien-Ming Lien氏
DSET 副会長/中華経済研究院 院長/国立政治大学 特聘教授
リエン教授は、医療経済学を専門とし、トランプ政権時代の関税が台湾の経済安全保障に与える影響について重要な分析を行ってきた研究者
[セッション2] イノベーションと安全保障の両立:研究セキュリティの比較視点
Dr. Jeremy Chih-Cheng Chang氏
DSET CEO/経済安全保障研究ディレクター
チャン教授は、地政学と技術法を専門とし、重要技術の保護や米国・日本・台湾における半導体サプライチェーンの強靭化に取り組む。これまで、ハーバード大学、京都大学、日本科学技術振興機構などで学術・政策分野の経験を積む
久光 徹
東京大学 RCAST 経済安全保障インテリジェンス分野(ESIL)客員研究員/株式会社FRONTEO 経済安全保障室 研究チーム部長 サイエンスフェロー
経済安全保障ソリューション向けの基盤技術および分析手法の開発に従事
[セッション3] 見えないインフラ、可視化されたリスク:海底ケーブルと経済レジリエンス
Dr. Tsaiying Lu氏
DSET 研究員/気候レジリエンス・持続可能性プログラム ディレクター
ルー博士は、台湾のエネルギー転換、新エネルギーの地政学、半導体産業の戦略的脆弱性を専門に研究。
アテナ・ケリン・トン
東京大学先端科学技術研究センター(経済安全保障インテリジェンス分野)客員研究員
2015年以来、香港における政治活動や人権の提唱に携わってきた経歴を持つ
多田 崇
株式会社国際社会経済研究所(IISE)

東大先端研・経済安全保障プログラムは、NATO本部、及び、デンマーク王国大使館(NATO連絡窓口大使館)と共催で「日ーNATOシンポジウム2024:不確実な時代におけるパートナーシップ」を開催します。
昨年開催した「日・NATOシンポジウム2023 – 新たな安全保障上の課題への挑戦」に続き、世界各国の専門家を東大先端研に招聘し、不確実性が高まる世界におけるパートナー国同士の協力について議論を行います。
今年は基調講演にスウェーデン国防大臣をお招きすると共に、ディスカッションではNATO本部の専門家、駐日大使数名(EU、ノルウェー、デンマーク、ルーマニア)や日本の防衛政務官などが登壇します。
このシンポジウムでは、(1)欧州・大西洋とインド太平洋の関連性、(2)2024年の各国選挙の影響や新たな脅威と対応、(3)日-NATOとIP4諸国の連携などについて議論を深めていきます。

現在、AI 技術の目まぐるしい発展が社会にもたらす影響に注目が集まり始めています。最先端の AI 技術の利活用には様々なメリットがある一方で、「敵対的 AI 」と呼ばれる AI に対する攻撃や悪意を持った AI の開発・利用が、各国の経済安保を脅かすものとして重要視され始めています。
このような背景のもと、東京大学先端科学技術研究センター (RCAST) と笹川平和財団 USA は、『日米 AI セキュリティ協力:偽情報・サイバー脅威に関する敵対的 AI リスクと緩和戦略』をテーマにシンポジウムを共催します。
本シンポジウムでは、米国政府で AI 技術の開発促進や規制に関する政策立案を行う担当者に加え、米国で AI 研究をリードする国立研究機関であるローレンス・リバモア国立研究所、オークリッジ国立研究所、パシフィック・ノースウェスト国立研究所の研究者を招聘します。現在米国で行われている最先端の AI 技術開発について紹介して頂くと共に、それらの技術が社会実装されて行くことによりどのような機会とリスクが存在するのかについて議論します。特に、 AI を悪用することによる偽情報やサイバー攻撃にどう対処すべきなのか、政府はどのような促進・規制政策を取るべきなのか、日米間の協力はどうあるべきかについて議論します。
開催報告はこちら。














