2025年8月7~8日、東京大学先端科学技術研究センター 経済安全保障インテリジェンス分野(井形研究室)は、大阪・関西万博の北欧パビリオンにて開催されたNATO国際会議「NATO’s Contribution to Preserving Peace & Stability」に開催協力を行いました。

若手向け8/8午後の若手向けセッションには、国内外約25大学から60名の学部生・大学院生を事前選抜し、参加を得ることができました。これにより、次世代を担う若手世代が国際会議に直接関与し、NATOと日本の協力やグローバル課題について議論を深める貴重な機会となりました。
学生参加者所属大学(順不同):東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、同志社大学、京都大学、大阪大学、南山大学、龍谷大学、青山学院大学、国際基督教大学、東京外国語大学、東京農業大学、東京国際大学、東京都立大学、筑波大学、名桜大学、横浜国立大学、ハーバード大学(米国)、イェール大学(米国)、ローズ・カレッジ(米国)、デニソン大学(米国)、キングス・カレッジ・ロンドン(英国)、高麗大学校(韓国)
セッション1:欧州ハイブリッド脅威対処センターのレクチャー
まずは名桜大学の志田淳二郎上級准教授(ESIL所属の客員上級研究員)による司会の元、フィンランドヘルシンキにある欧州ハイブリッド脅威対処センターのRauha-Maija Rannikko特別アドバイザーによる「ハイブリッド脅威」の現状と対策に関するレクチャーからスタートしました。

Rannikko氏は、「ハイブリッド脅威」について、その定義が国際的に統一されているわけではないものの、共通の理解が形成されつつあることを指摘しました。また、ハイブリッド脅威を識別するための枠組みや分析ツールを紹介し、民主主義国家にとっての脅威や課題を説明しました。さらに、社会全体における認識向上の必要性や、より効果的な対応能力の構築に向けた方策についても提言がなされました。


セッション2:NATO担当官とのディスカッション

若手向けセッション第二弾では、NATOインド太平洋担当官のPietro De Matteis氏が登壇し、揺らぐ国際秩序におけるNATOの役割やインド太平洋地域での位置づけについて概観を示しました。De Matteis氏は、ロシアや中国による偽情報が「NATOがインド太平洋や台湾で安全保障提供を行っている」と誤って伝えている点を指摘し、こうした誤解を正すためにはNATOとしての広報・外交対応が不可欠であると強調しました。
質疑応答では、学生から地域情勢の分析やNATOの課題、悪意あるアクターへの対応、加盟国のコミットメント、さらに日本やIP4諸国とNATOの将来的な協力可能性など、多岐にわたる質問が矢継ぎ早に出されました。参加者の積極的な姿勢により議論は大幅に時間を超過し、大盛況のうちに終了しました。






セッション3:政策シミュレーション
若手向けセッションのハイライトは、欧州とインド太平洋を舞台とした政策シミュレーションでした。東京大学先端研がMOUを締結しているEVCのJakub Janda所長と井形彬特任講師(東大先端研)が中心となり準備・運営を行い、参加学生全員がチームに分かれ、それぞれ与えられた国と役割(国家元首、防衛相、政務担当者、記録係など)を担ってシナリオに臨みました。
シミュレーションは二部構成で行われ、第一の「一手目」として欧州情勢、第二の「二手目」としてインド太平洋情勢をテーマに設定。各チームは自国の歴史的・政治的文脈を踏まえて、政治的・軍事的・外交的な対応を徹底的に議論し、リーダー役の学生が議論の成果を発表しました。その後、モデレーターから分析と改善点に関するフィードバックが提供されました。
3時間に及ぶ長丁場にもかかわらず、議論は熱気を帯び続け、最後には一層盛り上がりを見せながら時間いっぱいで終了しました。本シミュレーションには「正解」が存在しない設定が意図的に組み込まれており、学生たちは自ら考え、調べ、議論する過程を通じて多くの学びを得る機会となりました。



